質問レス/コメントレス 過去ログ(2011年)


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(2011/12/28 Chemistrikaさん投稿)
Q12 topページの 放課後化学講義室 の文字の上の物質って何ですか。
(ベンゼンが4つくっついたようなもの)


<回答> 2011/12/29



Chemistrikaさん初めまして。

この分子はChemistrikaさんも日ごろお世話になっている(と思う)分子です。

名前は

「2,2’-ビス(2,3-ジヒドロ-3-オキソインドリリデン)」

という物質です。

一般には

インジゴ

と呼ばれています。

こちらの呼び名は有名で聞いたことがあると思います。

インジゴはジーンズの青色の染料です。

もうちょっと正確に言うと深い青、すなわち藍色の色素分子です。
(要するにジーンズの色です。)

トップ画像もインジゴの色をイメージして青色です。

分子構造を見てみると単結合と二重結合が交互にあることがわかります。

これがインジゴが色素分子たる大きな理由です。

また「建て染め」という染め方をする染料であると高校化学の教科書にも載っていたりします。

詳しくは10か月程前に書いた記事;

『今日の分子No.43 :インディゴ』

をご覧ください。


こんな変わった形の分子が、とても身近なジーンズの青色染料だなんて面白いと思いませんか?

上のリンクの『今日の分子』シリーズで、他にもたくさんの分子を紹介しています。

ぜひご覧ください。身近な分子と新しい出会いができるはずです!
化学は面白いですね!

これからも当サイトを宜しくお願い致します。







(2011/12/1 綾さん投稿)
Q11 こんばんは!
高校の授業の参考に、先程ヨードホルム反応の講義を読ませていただきました。
非常に分かりやすく、且つ詳しいご説明に、とても感激いたしました。
そこで、厚かましいようですが、銀鏡反応に関して先生のお知恵を拝借できないでしょうか・・・・・・


<回答> 2011/12/3

綾さん初めまして。

ヨードホルム反応の記事、喜んで頂けたというのは光栄です。

高校の教科書には全体の化学反応しか書いていなくて具体的に何が起こっているのかが気になるところなんですよね。

ただ反応の式を覚えるだけでは面白くない。

実際の化学反応は本当に分子同士が衝突して起こっていてちゃんとメカニズムがある、それが面白いのです。


さて、銀鏡反応の話ですね。

とりあえず確認をしておきます。


◎ 銀鏡反応(silver mirror reaction)

アンモニア性硝酸銀水溶液(Tollens試薬)にアルデヒド等還元性有機化合物を加えると、容器壁に金属銀が析出し「銀鏡」(silver mirror)を形成する反応。

アルデヒドはカルボン酸に酸化され、ジアンミン銀(I)イオンが銀(0)に還元される。


・ 半反応(条件;アンモニアが溶けていて塩基性)

R-CHO + 2OH- → R-COOH + H2O + 2e-  <アルデヒドの酸化>

[Ag(NH3)2]+ + e- → Ag + 2NH3  <Ag+の還元>


・ 全反応式(イオン反応式)

2[Ag(NH3)2]+ + R-CHO + 3OH- → 2Ag + R-COO- + 2H2O + 4NH3

※ (1), (2)式と、生じたカルボン酸の中和を足す。OH-をNH3が電離して生じたものとして表現することもあるが、今回はそのままにしておきました。


さて、上のように反応式を立てましたが、まさかアルデヒドから銀イオンにいきなり2電子分電子が飛んで行って、いきなりアルデヒドからHがとれてOHがくっついてカルボン酸に・・・なわけないでしょうね。

ちゃんとそれなりにステップを踏んで結合の組み換えが起こっているはずです。


綾さんはもうwebで検索したりして知っていると思いますが、

銀鏡反応の具体的なメカニズムがどこにも載っていない

ですよね。

これはなぜかと言うと、「誰も知らないから」です。

実はこの反応のメカニズムはまだよく解明されていません。[1]

解明されていない化学反応はたくさんありますが、特にこの反応のように固体が生じる反応は分子1個1個の動きを考えるだけでは説明がつかないため解明が難しいのです。

教科書等には完全に(もしくはそれが妥当であると)わかっていることしか普通載せていません。

だからどこにも載っていないのです。


しかし!

最新の研究結果や推察が書かれている「論文」になら、銀鏡反応のメカニズムも(完全ではないですが)考えられていて載っています。

例えばある論文[1]にはアルデヒドは次のようなメカニズムで電子を失うと思われると書いています。




※ 塩基性条件を考慮して文献[1]に記載されている式を一部改変

☆ 矢印は電子(対)の動きを表しています。(大学化学的表現)


順に説明します。

(a), (b) アルデヒドの水和

(a)のようにマイナス電荷持った水酸化物イオンがδ+に帯電しているカルボニル基に引き寄せられぶつかってくると、水酸化物イオンのマイナスの分電子がカルボニル基の酸素に押し出され物質Aができます。

次に陰イオンであるアルコキシドイオンの形をしたAが(b)のように周りの水からH+を引き抜くと、収まりの良い化合物Bが生成します。

(a)と(b)を合わせると




となり、これはアルデヒドの水和反応になっています。
(OH-は正味消費されていない;すなわち触媒である。)

この水和反応は塩基性条件で(a), (b)のようにうまく進むため、銀鏡反応では溶液を塩基性にする必要があるのです。


(c) 一電子移動(酸化反応)

化合物Bの酸素原子は非共有電子対を2つ持っていて、すなわち電子をたくさん持っています。

無いところから奪うことはできないため、電子が奪われるときは電子をたくさん持っている部分から奪われるのが自然です。

したがって、この酸素の1つの電子が何らかの経路で銀イオンの方に動いていきます。 ← ここが未解明!!(後述)

Oが1つ電子を失ったため「C-O+-H」という形の物質Cが生成します。


(d) 脱プロトン化(H+を失う反応)

Cは酸素が正電荷を持っていて、マイナスが好きな酸素はそれがとても嫌な状況です。

そこで結合している水素をH+として捨てて化合物Dとなることで、そのプラス電荷を水素に押し付けて酸素は電気的に中性になります。

実際は、塩基性条件なので捨てるH+はOH-が拾って行ってくれて、水が生じます。


(e) 一電子移動(酸化反応)

(d)で生じた化合物Dですが、この分子に大きな問題があります。

そう、酸素の周りには7電子しかありません。

普通化合物中の或る原子周りの電子を数えると8つになっているというのがオクテット則ですが、それを満たしていないため化合物Dは不安定で、ラジカルと言うことになります。

ここで、また酸素から1つの電子が何らかの経路で銀イオンの方に動いていきます。 ← ここがまた未解明!!(後述)

奇数個の電子を持ってラジカルになっているより、偶数個の電子を持っている方が収まりが良いことがあります。

よって中途半端にブラブラしてる電子を奪われて化合物Eになります。


(f) 脱プロトン化(H+を失う反応)

しかし化合物化合物Eの酸素はまた正電荷を持ってしまいました。

化合物Cのときは酸素に水素が付いていたのでH+を捨てられましたが、化合物Eはそうはいきません。

そこで何とかプラスを捨てるために、隣の炭素についている水素をH+として捨ててやろうと考えるわけです。

・・・っと言うとちょっと化学的ではなさすぎるので、下の構造式のように「C-Oが二重結合になりかけている代償としてC-Hが切れてしまいそうになっている」分子であると考えると良いかもしれません。




このとき水素は強くδ+に帯電していて、グラグラです。

この水素のプラスめがけてマイナスに帯電している水酸化物イオンがぶつかってきて、H+をさらっていくわけです。

すると陽イオンであったEは電気的に中性で安定なカルボン酸Fになる、ということです。

(d)、(e)、(f)のように、無理やり1つ電子を奪われたのをきっかけに分子が崩壊していく現象はよく見られます。


以上がアルデヒドの酸化のメカニズムとして考えられています。

たぶんアルデヒドの酸化は、

・ -CHOが-COOHになったが、1個増えたOはどこから来たのか?

・ -CHOからC-H結合がなくなったが、Hはどこに行ってしまったのか?

というとこが気になると思います。

答えは

・ -CHOが-COOHになって増えたOの由来は水和反応。

・ -CHOのHがなくなったのは、(f)の反応でOH-がかっさらっていって水になったから。

なわけです。

そしてミソは、

水和反応を起こすためには塩基性にしなければならない。

⇒ 塩基性にしたらAg2Oの沈殿が生じてうまく反応しなくなる。

⇒ 溶解させるためにアンモニアを入れて[Ag(NH3)2]+にする。

というところですね。

これが「アンモニア性硝酸銀水溶液」の所以です。



さて、アルデヒドの酸化反応はまあまあわかりました。

しかし対となるジアンミン銀(I)イオンの還元反応はどうなっているのか?

これが未だよくわかっていないのである。

(c)の一電子移動反応は具体的には




等色々パターンが考えられる。

でもどれでもうまく説明できない。

なぜなら、上のどの反応であっても生じそうなのは「Ag原子」であり、原子一個が生成するというのは考えにくいし、原子一個一個がバラバラにできてこれが壁に集まって銀鏡になるとも考えにくい。

ここで注意したいのは「銀が試験管の壁に生じる」というところである。

世の中には「壁」で積極的に起こる反応があり、専門的には「wall reaction」(壁面反応)と呼ばれています。

この反応ではこのような壁面反応が起こっているのではないかと筆者は提案したい。

「壁」ももちろん化学物質でできている。

例えば試験管ならガラスSiO2(NaやBも微量含む)であり、これは表面にSi-OHやSi-O-Na+がある。

Ag+はNH3やH2O、壁のSi-O-基等となんらかの錯体を作って壁にいて、水和アルデヒドから電子を奪うんじゃないかと思います。




「何らかの電子移動」ですが、様々な論文、文献でこの部分にいくつかヒントがあります。

・ 銀鏡反応はアンモニアを入れ過ぎるとうまくいかなくなる。すなわち銀イオン種が周りをガチガチに固められた[Ag(NH3)2]+ばっかりになるとうまくいかない。
⇒ NH3が配位していない銀イオン種がいくらか必要なのか?[1]

・ 遷移金属錯体の中心金属が酸化や還元されるときは、配位子の間で原子が移動することが多い。[2]

等など。



っと、こんな感じです。

結局まだ詳しく解明されていないのでわからないわけですが、上記のような仮説は立っています。(最後のは勝手な私の考えですが・・・)

読んだ論文が古かったので、もっと最新の研究論文を探せばもうちょっと詳しくわかっているかもしれません。
(でも新しいの探しましたが見つかりませんでした・・・世の中はもう銀鏡反応のメカニズムに興味がないのか!?)

無駄に長々と書いてしまいました。

「わからないこと」は自由に考えることができるので、楽しくて(笑)


◎ 参考

[1]. Hisao Kurotani, What is the work of ammonia in the silver mirror reaction?, 化学教育 18(3), 223-225, 1970-07-20, 日本化学会

[2]. 『有機化合物の酸化反応機構』W.A.WATERS著, 東京化学同人(1967)







(2011/8/5 akogarehagaussさん投稿)
Q10 硫酸の脱水作用の回答ありがとうございます。
初めて納得できる説明に出会うことができました。
感動しました。感謝申し上げます。


<回答> 2011/8/6

どういたしまして。

喜んでもらえたなら光栄です。

「ありがとう」というメッセージが投稿されると本当に「このサイトやってて良かったな」っと思います。

これからも本サイトを宜しくお願いします!







(2011/7/24 akogarehagaussさん投稿)
Q9 濃硫酸の脱水作用のメカニズムを教えて頂けませんか?
例えばショ糖に濃硫酸をかけると、酸化還元反応でもないのに、炭素が遊離します。不思議です。


<回答> 2011/7/28

akogarehagaussさん初めまして。

ショ糖の濃硫酸での脱水反応は有名で、教科書にも載っていますがメカニズムがまったく書かれていませんね。

唯一書いてあるのは「濃硫酸の強い脱水作用による」等ということで、またこの「濃硫酸の脱水作用の強さ」を説明するためにこの例が載っているわけです。


さて、まず確認しておかなければならないのは、ショ糖(スクロース)の濃硫酸での脱水炭化反応

C12H22O11 → 12C + 11H2O

の「C」とは何かということです。

炭素原子が一個一個バラバラに「遊離」しているのではなく、何らかの分子を作っています。

実は実際に生じるのは「単体の炭素」(グラファイトなど)ではなく「官能基が残った無定形炭素」です。

無定形炭素とは、理想的にはグラファイトとダイヤモンドの”あいのこ”みたいなもので、グラファイトの様にベンゼン環があると思いきや脂肪族の四面体型の結合をした炭素もある大きな分子、要するに炭素原子がぐちゃぐちゃに結合した巨大分子です。

スクロースの濃硫酸での炭化で生じる「C」はこのような無定形炭素で、かつ-Hや-OH、途中生じたC=Oなどの炭素以外の原子も残存して結合している「炭素質巨大分子」であるようです。

ではどのように(i)濃硫酸により脱水されるか、(ii)巨大な分子になるか、を考えていきましょう。


なおスクロースは下図左の構造ですが、簡単のため右の構造のように省略して描くことにします。



(i) どのように濃硫酸により脱水されるか。

濃硫酸が強い脱水作用を持つ理由は

1. 強い酸性

2. 大きな水和力

が大きな要因です。

要するに、-OH基にH+を無理やり渡してアルキルオキソニウムイオンR-OH2+にし、ここから水H2Oを引っこ抜くといったことです。

(※もう少し専門的に言うと本当のところは、濃硫酸と取れたH2Oの水和により多量の熱が発生し熱的に安定化するので逆反応が起こりにくいから水がどんどん取れていきます。)


まず硫酸はその強いH+化能力によりスクロースの酸素をH+化できます。

例えば最初に開環反応を書いてみます。

(式1)

ポイントはH+が一個くっついて、次に外れているので正味消費されていない、すなわちH+(すなわちそれを出した硫酸)は触媒だということです。

ちなみにこの反応でエノール(ビニルアルコール等の総称)が生じますが、お知りの通りこれは主にアルデヒドになります。


では次に本題の脱水反応。

適当なヒドロキシ基-OHがH+化され、水とH+が取れます。

(式2)

ここでポイントなのは、水が抜けるときはその隣の炭素原子に結合するHがH+として抜け、C=C結合を作ります。

また、生成物はエノールだったのでアルデヒドになります。

もしもこのまま同様に脱水が起これば、次のようにどんどん同じようにH+がヒドロキシ基にくっ付いては水とH+が取れるという反応が起こるでしょう。

(式3)

このようにして-Hと-OHが水としてどんどん取れていくと炭素の割合が大きな分子になります。


(ii) どのように巨大分子になるか。

(i)での反応では水は取れますがC-C結合は新たに生成しないので炭のような分子はできそうにないです。

他の反応が付随して起こるのでしょう。


ここで断っておかなければならないのは、筆者もスクロースの炭化の正確な機構を知らないことです。

というか、おそらくこの世の中に濃硫酸によるスクロースの炭化を正確に記述できる人はいないと思います。

というのも、

・ 上に示した脱水反応はどの-OH基から順番に取れるのか?

・ 途中に転移反応もあるだろう。

・ 脱水反応と次に示す縮合反応はどのような順で起こるか?

の答えはおそらく「ぐちゃぐちゃに起こる」からです。

もちろん生じた炭素質物質の組成も構造もぐちゃぐちゃでしょう。

あまりに複雑・雑多な反応なのでしょう。

文献を探してみましたが、やはり詳しいことはどれにも載っていませんでした。


たくさんの素反応が考えられますが、この場合「アルドール縮合」という反応がC-C結合形成反応の1つになりうると予想されます。

例えば次にように、式1の生成物のアルデヒドのC=OのOが硫酸によりH+化され、そこへ式1で生じたエノールが反応するとC-C結合ができます。

さらにこの生成物(アルドール)は容易に脱水しC=Cを作ります。

(式4)

この時もH+は正味消費されていないので、硫酸は触媒です。

この(ii)の反応が分子内で起こると環を巻きます。

また、C-C結合が逆反応により切れてより安定な形にも変わり得ます。

(i)の脱水反応が起こりつつ、この縮合反応が起こっていけばどんどん炭素質な分子に、どんどん巨大な分子になります。

かつ、強い酸性条件では二重結合がH+化されることによって生じる炭素陽イオン種が、転移によってより安定なベンゼン環のような形へ変化していきます。

このように脱水、縮合、転移によってどんどん無定形炭素とよばれるグラファイトとダイヤモンドが混ざったような巨大炭素質分子になり得ます。

もちろんぐちゃぐちゃなこの反応では完璧な反応は起こらないでしょうし、官能基も残存するでしょう。

このようにしてスクロースは濃硫酸により、例えば下図のような官能基残存炭素質巨大分子になると考えられます。




以上のように考えてみました。

しかし上の(i)の式や(ii)の式を見てわかるように、スクロース(炭水化物)はかなり濃硫酸により炭化されやすそうです。

☆・-OHが隣同士にたくさんある
 ・アルドール縮合の起こりやすいアルデヒド基をどんどん生じる
 ・なりよりH:O=2:1でちょうど水となって抜けられる。


まあ、たぶん今回一番重要なところは

「C」と表記されるもには「原子一個一個になって遊離したもの」や「綺麗なグラファイト」ではなくて、上構造のような「炭素質巨大分子」であることです。

個々の反応についてはもっと多くの複雑な素反応が組み合わさったもので、生成物や反応の詳細な解析はきわめて困難なものだと思います。


少しでも疑問解決のお役に立てたなら嬉しいです。

というか、「結局良く分からないのかよ」って話ですが、これが化学の面白いところです。

わからないことは自由に色々考えることができますね。

ちなみに私はユストゥス=フォン=リービッヒ博士(リービッヒ冷却管作った人:ウェーラーと並ぶ19世紀最大の有機化学者)が憧れです。







(2011/4/15 Q1さん投稿)
Q8 ラジカル重合の記事読みました!
高分子化合物の右端と左端は普段省略して表記しますが、実際の右端と左端は
重合開始剤の分子の半分(R)がくっついている形になっているのでしょうか?


<回答> 2011/4/16

確かに普段ポリマーの両端は省略されているので気になるところですね。

かなりコアでマニアックな世界の話になりますが・・・

※ 開始剤を便宜上「R-R」と表記します。


おそらくQ1さんは

R-R → 2R・

R・ + CH2=CHX → R-CH2-CHX・

R-CH2-CHX・ + CH2=CHX → R-CH2-CHX-CH2-CHX・

R-CH2-CHX-CH2-CHX・ + CH2=CHX →→→ R-(CH2-CHX)n

R-(CH2-CHX)n・ + R・ → R-(CH2-CHX)n-R

という反応を考えてくれたのでしょうかね。(もっと違うアイデアだったらごめんなさい。)

最後、ポリマーのラジカルが開始剤のラジカルと反応して収束すると。

実はこの停止反応が起こる可能性は低いです。

というのも、反応系中にはモノマー、ポリマー、成長中のポリマーラジカル、開始剤、開始剤のラジカル(R・)、(と溶媒とか)があります。

R・と成長中のポリマーラジカルの他もたくさん成分が入っているので、R・は生成するとすぐに周りにたくさんあるモノマーや開始剤
(と溶媒)と反応してしまう確率が高いです。

だから成長中のポリマーラジカルがR・と出会う確率は低いでしょう。


停止反応は、次の2パターンがメジャーです。

1. 二分子のポリマーラジカル同士がくっつく反応。(「再結合」)

R-(CH2-CHX)n・ + ・(CHX-CH2)m-R → R-(CH2-CHX)n-(CHX-CH2)m-R

2. 二分子のポリマーラジカルが水素をやり取りして、末端が水素でキャップされたものと二重結合になる反応。(「不均化」)

R-(CH2-CHX)n・ + ・CHX-CH2-(CHX-CH2)m-R → R-(CH2-CHX)n-H + CHX=CH2-(CHX-CH2)m-R


他に「連鎖移動」と呼ばれる反応もあります。(ラジカルはなくならないので停止反応とは言わない。)

1. ポリマーラジカルが開始剤と反応する場合。(開始剤をたくさん入れると起こりやすい)

R-(CH2-CHX)n・ + R-R → R-(CH2-CHX)n-R + R・

2. ポリマーラジカルが溶媒(例えばトルエンCH3C6H5)と反応する場合。(反応しやすい溶媒にすると起こりやすい。)

R-(CH2-CHX)n・ + CH3C6H5 → R-(CH2-CHX)n-H + ・CH2C6H5


等などです。

だから両末端はR〜RだけでなくR〜Hとなったり、R〜=CH2等になります。

また、R-RもR・だけでなく、さらにR・が分解したR'・もラジカルとして出します。

で、これらを考えているとややこしいので普通「[-CHX-CH2-]n」と記するわけです。

ちなみに、ラジカル重合では上の停止反応の式から、生成するポリマーは長さもばらばら(1と2では長さが倍ほど違う)、途中で
-CH2-CHX-単位が反転していたりしてかなりぐちゃぐちゃです。

さらに実際はモノマー単位が綺麗にまっすぐ繋がらずに枝分かれができてしまうこともあります。

それら全てを考えるのは非常に困難なのでなおさら「[-CHX-CH2-]n」とざっくり表しています。

しかし近年はラジカル重合以外の重合法も実用され、末端を制御することで機能化したり枝分かれしないようにして密度を調節したりすることができるようになってきています。







(2011/3/17 Q1さん投稿)
Q7 お久しぶりです。この度はご親族を亡くされたそうで、ご愁傷様です。身内の死に直面すると、
人間の一生についていろいろ考えてしまいますよね。さて私事ですが、残念ながらまた浪人する
ことになってしまいました(T_T)。しかし、せっかく浪人する(?)のだから、大学に行ってから困らない
ように勉強していく所存です。またいろいろ質問させていただくと思いますので、その節はどうか
よろしくお願いいたします。


<回答> 2011/3/18

お久しぶりです。

Twitter見てくれたんですね。

バイト先の人たちも見てくれたようで、すぐに「大丈夫?今日バイトどうする?」的な心配の電話をもらいました。

周りの人に恵まれていることは有難い・・・有難うございます!

まあひいばあちゃん91歳だったらしいし、悔いもなかったでしょう。

悔いを残さないように生きたいですね。

今人生は80年くらいあるようなので、そのうちの1年や2年を浪人に使っても、その後の人生がより良くなるなら全然OK!
っというように考えてみましょう。


このサイトは常にのんびり高校化学(あるいはもう少し発展的な化学)の話を載せていくので、受験勉強に疲れたら息抜き
程度にでもぜひ見てみてください。


これからもよろしくお願いします!







(2011/2/4 大生応用化学Nさん投稿)
Q6 ××君ですか?


<回答> 2011/2/4  ※青文字は伏せてるのを表します。

バレた・・・だと・・・

まさしく××(筆者の本名)だ!!

バレるもんなんですねぇ・・・

まぁ同じ大学の同じ学科の人だから、バレても全然なんともないけどね。

別に隠してもないし。







(2011/1/14 youさん投稿)
Q5 はじめまして 高校で化学を教えていますyouといいます。
ケミスさんのブログは丁寧に解説されていて、うちの学校の生徒に宣伝させてもらっています。
質問ですが、「実際のCODの測定」では、シュウ酸ナトリウムと記述されていますが、
解答では「シュウ酸」が示されています。どちらを基本にしておけば良いのでしょうか?



<回答> 2011/1/14

ご評価有難う御座います。

宣伝なんて・・・物凄くうれしいです!


さて、質問の内容ですが、結論を言うと

「滴下したのはシュウ酸ナトリウムだが直接酸化されたのは反応したのはシュウ酸」

だと思います。

が、筆者の解答にはこの記述がなく記述不足だったと思います。


まず、反応溶液は硫酸酸性なのでシュウ酸ナトリウムは硫酸と反応してシュウ酸になります。

そしてそのシュウ酸が過マンガン酸カリウムに酸化されると考えるのが妥当だと思います。

すなわち

(COONa)2 + H2SO4 → (COOH)2 + Na2SO4

の反応が起こり、次いで

MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
(COOH)2 → 2CO2 + 2H+ + 2e

の酸化還元反応が起こると示唆されます。

するとイオン反応式は

2MnO4 + 5(COOH)2 + 6H+ → 2Mn2+ + 10CO2 + 8H2O

ですが、最初の式も考慮して全反応を考えると

2KMnO4 + 5(COONa)2 + 8H2SO4 → 2MnSO4 + K2SO4 + 5Na2SO4 + 10CO2 + 8H2O

となります。

最後の式は家にある資料を漁ったら出てきたので、おそらくこの考え方で良いと思います。

これらの式と考え方を解答に書き足しておきます。


このようにシュウ酸になってから酸化されると考えると高校で習うシュウ酸の半反応式も使えるのでわかりやすいと思います。

が、もっと厳密に「実際に反応した化学種」を考えるととても難しいと思います。

おそらくシュウ酸と過マンガン酸イオンが脱水縮合して生成した化学種が、結合を切るようにシュウ酸側から
マンガン原子のほうへ電子対を動かすのでしょうし、本来これ以上酸化されないカルボン酸が酸化されているので
隣のカルボキシル基がなにか効果を与えている可能性が示唆されます。

そう考えると電子対の移動によりC-C結合がヘテロリシス開裂してカルボキシル基の炭素にカルボカチオンが現れて、
これをカルボキシル基の酸素のローンペアが安定化していると考えれば合う気がします。

また硫酸濃度を上げるとこの反応は進みやすくなるという実験結果があるようですが、これもカルボカチオンが関係する
SN1機構に関係しているような気がします。

あと過マンガン酸カリウムの反応には自己触媒性もある・・・っと言うのを考えると、反応は複雑であまり細かく考えても
仕方がない気がしてきます。


あと、解答には「滴下したシュウ酸」とありましたがこの記述はおかしいですね。

「滴下したシュウ酸ナトリム」に直しておきます。


これからもよろしくお願いします!







(2011/1/7 Q1さん投稿)
Q4 いつもご丁寧に回答していただきありがとうございます!
リン酸問題の(7)の解答のα3の値(リン酸イオンの存在割合)が7.56x10-15くらいに
なるような気がするのですが、確認していただけないでしょうか。(僕の計算ミスの
可能性大なので、間違っていたら大変失礼いたしました)



<回答> 2011/1/8

いえいえ、筆者のミスです(爆)

本当に本当に本当に申し訳ございません。。。

実はこれ、計算ミスではなく問題のミスでした。

リン酸の解離定数が

「K1=1.1×10-2、K2=7.5×10-8、K3=1.1×10-13

とありましたが、正しくは

「K1=1.1×10-2、K2=7.5×10-8K3=4.8×10-13

です。

どうやら問題作るときにコピペして直すの忘れてたみたいです。。。。

これらの平衡定数を代入すると解答の通りの値になります。

一方間違ったK3を代入した場合、Q1さんの答えの通り α3=7.56x10-15 となります。

というわけで、問題のK3の値を直しておきます。

Q1さん、本当に毎度毎度申し訳ありません・・・貴重な時間を使わせてしまって・・・

いやぁ・・・しかしガチで信頼失墜レベルのミス密度ですな ^^;)

さすがに焦って他のところも見直したら、限界イオン半径の問題の解答でタイピングミスをしているのを見つけました。

具体的には「実際」を「実祖」(←??)と言うところです。

これも直しておきました。

今回のミスもネットの世界に大恥晒しているものだったので、ホントにミスを見つけてくれるQ1さん様様です・・・!!!







(2011/1/5 Q1さん投稿)
Q3 錯体のお話、ご丁寧に解説してくださりありがとうございました!
あと、あけましておめでとうございます!
CODの問題の(4)の過マンガン酸カリウムの式量の計算が違っていると思うのですが、
確認していただけますか。(酸素の原子量の部分)



<回答> 2011/1/5

な・・・ん・・・と・・・!?

とても恥ずかしいというかイタすぎるミスをしておりました・・・

過マンガン酸カリウムの分子量の計算を

「 KMnO4 = 39 + 55 + 16×4 = 158

最終的な答えの過マンガン酸カリウムの質量の計算のところを

「 8.56×10−5 mol × 158 g/mol = 13.5 mg 」

に訂正致します。

式量の計算間違うなんて論外なミス・・・

「ボンミスをするのが一番損!」っと教えてる塾生にも顔が立ちませんな。

Q1さん、いつもいつも有難うございます!

ここでQ1さんが御指摘してくれなかったら、ずっとネット上に筆者のアホさをさらし続けるところでした・・・

ヌケまくりの筆者とサイトですが今年もよろしくお願いいたします!


しかしかなりCODの値が小さくなったはずなのに、どっちにせよこの池の汚さは激しい(笑)

この値は筆者の実験の結果から取ってきているほぼそのままな値ですが、たぶんこれでも真のCOD値よりずっと低いです。

池の水をろ過して、しかも上澄みだけ取ってきているので。真の池の汚さはこれとは比にならないはず・・・

この他に水の汚染度を表す指標のひとつに「 DO 」(溶存酸素濃度)というものがあります。

これは試料水にどれだけの酸素が溶け込んでいるかという値です。

この値が小さいほど酸素は少ないということになり、それは水中にプランクトンやその他微生物が多くいて
腐敗などの影響を受け環境が悪いということを示しています。

この値について、大学のその汚い池と筆者の家の前に流れる比較的綺麗方な川の水で実験して比較したことがあったのですが、
その差は歴然でした。

大学の池が48 %、家の前の川が87 %  (※ 値は標準状態の酸素の溶解度に対する換算割合;飽和度、です。)

大学の池、クソですね(笑)

川は流れがあるので空気との接触面積が大きく水中によく酸素が取り込まれるようです。

一方池は淀んでいて酸素は少ないわ(=DO小)、有機物もとどまるわ(=COD大)で・・・

えっと、結論は「池の水は飲むな」ということです。(ぉ


入試問題で紙の上に活字で出てくる滴定も、こんな身近なものへの考察に役立ちます。

朝家の前で水汲んで実験室に持っていったのも一興。

CODの測定実験は理系共通の教養の実験で大抵やらされると思います。(数学と物理の人以外)

まあ楽しみに(?)しておいてください。


あ、もうセンター直前ですね!!

受験勉強頑張ってください!!






(2011/1/2 まりあさん投稿)
Q3 クリスチャン分析化学I(基礎編)のテキストを使って独学で勉強しております。
このテキストの問題で、章末問題の解答(付録F)を見ても解らない問題がございます。
お手数おかけ致しますが、ご指導いただけないでしょうか。・・・(以下略)



<回答> 2011/1/2

う〜む・・・

このサイトについてでも高校化学についてでもない質問ですが、たまたま時間があったので回答します。


Q3の解答 (公開終了)


ただし筆者は分析化学は専門でないので正確性は保障できません。悪しからず。


問題集等の解答はこのサイトの趣旨とは合わないので回答の優先順位は下がると思ってください。

問題の解答を説明してもらうのであれば、学校や予備校の先生に聞いたほうが直接対話できるし、
彼らは教えるプロなので良いかと思います。






(2011/1/1 Q1さん投稿)
Q2 補充計算問題の問16の解答ではトリエンと銀イオンが1:1で錯体を形成していますが、
受験参考書などで銀イオンは2配位をとるとよく目にします。問16のような問題が入試に
出た場合には補足がされるのでしょうか。



<回答> 2011/1/2

ややこしくてすみませんでした。。。

問題に「安定な1:1錯体」を追加訂正します。

あと

「 Ag+ + Tr ⇔ AgTr+

という平衡の式を追加します。

大学入試で知らない化学平衡の問題が出題されるときは、ほぼ確実に上式のような化学平衡の式が与えられると思います。


この問題は単なる錯体形成平衡の具体例を題材にしたおまけ問題のつもりで、銀の配位数を考えさせる意図はありませんでした。

配位数を考えるというのは、ガチ専門の大学レベルで難しいためまず出ないと思います。

記述不足でややこしくなったことを謝ります。


ご指摘かなり有難いです。

作った本人というものは、どうしても自分のミスに気づきにくいものです・・・

あ、明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!



<以下蛇足。かなり蛇足。ややこしいことばっか書いてごめんなさい。(←書いてから反省)>

ちなみに銀(I)イオンのトリエン錯体は、トリエン分子が銀イオンを取り囲むように配位しています。

このとき窒素原子の孤立電子対を銀イオンとの配位結合に使っています。

おそらく、下図のような構造になっていると思います。

このようにNやOを配位子とした分子が陽イオンを挟み込むようにようにして出来た錯体をキレート錯体と呼び、
特に安定な錯体であることが知られています。

他に有名なものにエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA:風呂に行ってシャンプーの成分表示を見てみよう!)等がある。



Ag(trien)+の構造(予想)


このときおそらく銀イオンは「四面体四配位」を取っています。

高校化学には出てこないレアな配位数ですね。

お詫びに(?)ちょいと説明をば。

銀イオンは通常直線二配位を取ります。

例えばジアンミン銀(I)イオン[Ag(NH3)2]+

Ag+イオンは最外殻電子が0個である一価の陽イオンです。

するとAg+イオンはあと4つの電子対(=8つの電子)を配位結合によりもらえれば閉殻となりますが、
遷移元素は閉殻とならずとも安定であること多いのが特徴です。

だからもらった電子が8つでなくとも気にしません。

[Ag(NH3)2]+イオンの銀イオンは2つ窒素原子から電子を2つずつ、合計4つの電子をもらって配位結合を作っています。

H3N → Ag+← NH3

すると「分子のカタチ」の項の考え方で2つの結合はお互い最も離れるように反発するので[Ag(NH3)2]+イオンは直線形になるはずです。

トリエン錯体では銀イオンは4つの窒素原子から配位結合されているので、最外殻電子の数は8になり、
4つの結合を空間的に4方向に均等にばら撒くので上図のような四面体型構造になるはずです。

Zn2+もAg+と同じく最外殻電子が0個である一価の陽イオンで、同様に考えることが出来ます。

[Zn(NH3)4]2+は4つの窒素原子との4つの結合を空間的に4方向に均等にばら撒くので四面体型構造になります。


ではよく対比される[Cu(NH3)4]2+はどうでしょうか。

[Zn(NH3)4]2+と同じく四面体型構造・・・・ではなくなぜか正方形。

Cu+イオンはZn2+もAg+と同じく最外殻電子が0個です。

しかしCu2+イオンはさらにそこから内殻の電子を1つ捨ててしまっているため不対電子が出来てしまい
今までの単純な裸のイオンとはワケが違います。

Q1さんなら「原子軌道」というものを参考書でチラッと読んだことがあると思います。

CH4はsp3混成軌道なので正四面体、C2H2はsp混成なので直線型です。

まさに[Zn(NH3)4]2+はsp3混成軌道なので正四面体、[Ag(NH3)2]+はsp混成なので直線型なのです。

が、Cu2+イオンはそれら普通の原子やイオンとは電子の状態が異なっているため、dsp2混成軌道というものを作ってしまうそうです。

だから正四面体ではなく例外的に正方形なのです。







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